横浜地方裁判所川崎支部 昭和61年(ワ)513号 判決 1987年6月04日
原告 甲太郎
右訴訟代理人弁護士 平岩敬一
右同 藤村耕造
右同 小長井雅晴
右同 森田明
右同 山本英二
右同 鵜飼良昭
右同 野村和造
右同 福田護
右同 宇野峰雪
右同 千葉景子
右同 渡辺利之
右同 三野研太郎
右同 湯沢誠
右同 高橋理一郎
右同 伊藤秀一
右同 荒井俊通
右同 青木孝
右同 小野毅
右同 間部俊明
右同 水池啓子
右同 小林将啓
右同 笹隈みさ子
右同 大宮正寿
右同 大倉忠夫
右同 増本敏子
右同 新美隆
右同 金敬得
被告 山口浩
右訴訟代理人弁護士 西迪雄
被告 齋藤明秀
<ほか二名>
右三名訴訟代理人弁護士 福田恒二
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
一 当事者の求める裁判
1 請求の趣旨
(一) 被告らは、原告に対し、連帯して金一〇〇万円及びこれに対する昭和六一年五月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
(二) 被告らは、原告に対し、神奈川県内で発行する朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞及び神奈川新聞の各神奈川県版の朝刊広告欄に別紙第三記載の謝罪広告を各一回掲載せよ。
(三) 訴訟費用は被告らの負担とする。
(四) 仮執行宣言
2 請求の趣旨に対する答弁
(一) 被告山口
主文同旨
(二) 被告齋藤、被告首藤、被告尾美
(1) 主文同旨
(2) 担保を条件とする仮執行免脱宣言
二 当事者の主張
別紙第二 当事者の主張記載のとおり
三 証拠《省略》
理由
一 原告の本訴請求は、被告らは、原告を逮捕する理由及び必要性がないことを知りながら、若しくは容易に知り得たにもかかわらず、警察官である被告齋藤において逮捕状を請求し、裁判官である被告山口において逮捕状を発付し、警察官である被告首藤及び被告尾美において逮捕状の執行に及び、もって原告を違法に逮捕したものであるとして、更に、被告首藤及び被告尾美は、逮捕後原告を取調べた際、原告の指紋を強制的に採取したものであるとして、被告らに対し、損害賠償及び新聞紙上への謝罪広告の掲載を求めているものである。しかし、原告が右に主張するように国又は地方公共団体の公務員がその職務を行うにつき、故意又は過失により違法に他人に損害を与えた場合には、当該公務員の所属する国又は地方公共団体がその損害賠償責任を負担し、公務員個人が損害賠償責任を負担しないと解される(最判昭和三〇年四月一九日民集九巻五号五三四頁、最判昭和五三年一〇月二〇日民集三二巻七号一三六七頁)から、原告の請求は、その余の点を判断するまでもなくいずれも理由がない。
二 よって、原告の本訴請求は、いずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 澁川滿 裁判官 小池勝雅 加々美博久)
<以下省略>